人生はおもしろい事柄に満ちています。日々の気づきを日記にしたためます。
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「女文士」
最近本をあまり読まないのですが、読んだ本のことすら、どんどん忘れていきそうな気がするので、備忘録がわりに感想を書いて、ブログに載せることにしました。

「女文士」(林真理子) −何のための人生か

 林真理子による、台湾出身の女流作家・眞杉静枝の伝記。生前は作家としてそこそこ知られていた彼女の、死にいたるまでの転落人生記。作品の中で、眞杉と対照的な存在として宇野千代が随所に登場するが、作家としても、一女性としても、眞杉は宇野に遠く及ばない。
 眞杉の人生の何が失敗だったのか。第一に、彼女の文学が、己の虚栄心を満たすための所産でしかなかった点である。この小説で描写されているかぎり、「作品の中で何かを表現したい」という、文学者としての燃えるような情熱や執念は全く感じられない。彼女にとって、手段は「文学」でなくてもよかったのだ。ただ、他人が、自分を認め、構ってくれさえすれば・・・。
 同じことが、眞杉の異性関係についても言える。美人と形容され、多くの男性と浮名を流した彼女だが、どの関係においても「なにか相手のためになることを」という姿勢は皆無である。自分のさびしさを埋めてくれる男が欲しい、子を為すことで妻の座を得たい、妻として安定した生活を保障されたい、それだけ。「相手のために、自分ができることはないか」という視点が完全に抜け落ちている。要するにこの人は、自分のことしか考えられないのだ。
 哀れだと思う。腹立たしいというより、気の毒になってくる。香典の中から借金を返してもらい、他人が金を払って建ててくれた墓に葬られる、のが彼女の最期。自分のことばかり考えて生きていたら、自分の人生すらままならなくなる。こうはなりたくないと思う。



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